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野生の血

20100208a.jpg

カディは、ほとんど野生に近い状態で
生まれ育った牝の仔馬だ。

風の強い、短い草しか生えていない土地。
そこで母馬は自分で子を産み、育てている。
人の手は、まったく施されないので、
弱い仔馬は厳しい環境の中で衰弱し、
生き続けることができない。
カディと同じ年に生まれた子の何頭かは、
夏を超えられず、死んでいったという。

カディは、
ある日、突然、母親の元から離された。
そして、自由を取り上げられた。

一月半ほど前に、母馬たちの群れから捕獲され、
その後は、ただずっと、
空いた草地に繋がれていたらしい。
たったひとりで。

元の持ち主が悪い人、とは思わない
むしろ良い人そうに見えた。
この島では、馬をそう扱うのが普通、
ということだ。

カディは、人に手をかけられて育った、
やんちゃな仔馬たちとは、ずいぶん違った。

少しぼーっとしているのも、
素直に私の後に従ったのも、
そこに、ある種の諦めがあるからだろうと思う。
感覚を遮断することで自分を守るしかなかったから。

けれども。
静かなカディの奥底に、
私は微かな気配が潜んでいるのを感じる。
それは野生の力強さのようなもの。
なんと言っても、過酷な状況を生き延びて、
今ここにこうしているのだから。

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河田桟

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