関係6

20101007.jpg

なんの思惑もないまま
カディボクを去ったのだが、
15分ほどして、

あ、今、戻ろう。

という気になった。

到着してみると、
カディは地面に寝ころんでいた。

ふて寝?

私の姿を見ると、
目をぱちぱちさせながら起き上がり、
そろそろと近づいてきた。

私は、もう一度、椅子に座った。
さて何が起こるだろう。

カディが近づいてくる。
私が手を差し出すと、
おでこをこすりつけてきた。

先ほどと同じように、
カディボクの中を、
一緒に歩いてみることにした。

私が歩くと、カディも歩く。
私が止まると、カディも止まる。

止まる時は、「ダー」と声をかけた。
これは島の言葉で、「ゆっくり」という意味。

とても素直な感じだったので、
そのままゲートに向かう。

今度は、ゲートを開けても、
カディは飛び出さなかった。

とてもおだやか。

外に出ても、
ぐいぐいとロープをひっぱらない。
私を気遣いながら歩いている気配がある。

草がたくさん茂っているところに来ると、
ごろごろと寝転がった。
そのまま起き上がらず、
目の前の草を噛みだした。

これは、ちょっとめずらしい動作。
想像するに、こんな感じだろうか。

緊張したのが解けてきて、
ごろごろしたくなった。

草を食べる気になっていたのに、
いったん当てがはずれて、がっくりきて、
でもその欲求は強く残っていたので、
目の前の草を食べずにいられなかった。

あくまでも、
食い意地のはったカディである。


その後、いつもより遠くまで、
一緒に散歩をした。
カディはずっと穏やかだった。

時々、草に夢中になって、
ロープを引っ張りそうになっても、
ダーと声をかけると、ごく自然に、
スピードを落とすようになった。

なんというか、
一緒に動いている感じがする。

関係性が、
根っこのところで、
変わった気がする。

ああ、このヒトは、
力で押し切ろうとしたり、
かけひきしようとしたり、
では、動かないんだな。

おいしい草を楽しく食べるには、
このヒトと一緒に足並みを揃えて
歩いた方がいいんだな。

カディは、そんなことを、
考えたのかもしれない。

私は、どちらかというと、
コトのなりゆきを見守っていた、
という感じ。
まだうまく言葉にできないけれど、
ああ、そうか、
と腑に落ちる感覚がある。

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