いやいやえん

いやいやえん―童話 (福音館創作童話シリーズ)いやいやえん

(1962/12/25)
中川 李枝子

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月に1~2回、近くの小学校に行って、
子ども達に「読み聞かせ」をしている。

やらないか、と声がかかった時、
物語を「語る」ということに興味があったので、
ひきうけてみた。
朗読の経験はないけれど。

コドモは、みんな集めても12人。
幼稚園~3年生の低学年組と、
4~6年生の高学年組に分かれて、
始業前に20分間、本を読み聞かせる。

選本は読み手にゆだねられている。
さて何読もう、と考えた。
特に低学年組。

私が好きな童話というのは、
案外暗かったりするので、
コドモが喜ぶとは限らない。

彼らが目を輝かせそうなお話、
と考えた時、真っ先に私の頭に浮かんだのは、
この『いやいやえん』だった。

あれ、おもしろかったなーと、
もう一度自分が読みたくなって、
手元に取り寄せてしまった。

読み返してみて、やっぱりおもしろい。
最高だ。

やまのこぐちゃんもいいし、
りんごとばななとみかんとももが、
たわわになっているくだものの山もいい。

そして主人公のしげる。
これがまあ本当に、
よいこの範疇から思いっきりはずれている。

かおをあらっていなくて、
ようふくもきていなくて、
ごはんもたべない。
それで、オトナが何をいっても、
「いやだい」と言い張る。

もうこれだけ読んで、私はにやにやする。
しげるのアナーキーさに。
(ちょっと自分の攻撃衝動を解放される感じがする)

いうことをきけない子は、
「いやいやえん」へ行くことになるのだが、
この童話がすばらしいのは、
オトナの正しさを押しつけないところだ。

たとえば、「いやいやえん」の
おばあさんは特別怖い人でも偉い人でもない。
ほかの話に鬼も出てくるけれど、
けっこうチャーミングでかわいい。
ともに、しげるをジャッジしない、
ニュートラルな存在だ。

しげるは、自分で自分の、
言ったこと、したことを引き受ける、
という展開になっている。
コドモにとっては、フェアな感じがする。
それでこまった事態に陥っても、
自分の頭で考える自由を与えられている。

作者の感受性が優れているのだと思う。
奥付を見ると、1962年に初版発行とあるから、
もう半世紀も前から読み継がれていることになる。

すばらしい本があってよかった。
こういう本があるから、
自由の利かないコドモ時代を、
なんとか生き延びられる、というコドモが、
この世界には必ずいるはずだ。

カディが、「いやだ」と生意気な顔をする時、
つい、笑ってしまうのは、
私の心の中に、今でもしげるが生きているからだ。

コメント

なつかしい

これ、小さいときの愛読書でした(おいしそうなものが出てくる本が愛読書でした)。
でも、私はこの本、どっちかと言うと「わがまま言ってると、後で困るのは自分ぞよ」という戒めの物語と取ってました。

なるほど、自分で言ったこと、したことを引き受ける、という読み方もあったのですね。

言うことを聞かずに、自分で自分の言ったことを引き受ける生き方をしてますが、これが根底にあった…かどうかは不明です(笑)。

でも、誰の中にも、しげるがいるのかもしれませんね。
と思ったら、なんだかちょっと気持ちがほっこりしました。

私もいろいろな本の食べ物のシーンばかりが記憶に残っています。(笑)
コドモはやっぱり動物に近いんですね、きっと。

この本は戒めの物語でありながらも、
どこかに、ちょっと抜け道があるような、
しげるをおもしろいやつととらえているような、
そういう感覚がいいですよね。

自分で言ったことを引き受けて生きるのは、
けっこうたいへんだけど、やっぱりおもしろい、
と思います。
限られた時間を生きているのですものね。
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