登場する主要な人物たちはみな、
「ギフト」と呼ばれる独特の感覚や才能を持っている。
それぞれ、物語を語る力、動物と心を通わせる力、
見えないものを読む力、未来を"思い出す"力、である。

そのことごとくが、
私にはとても興味のあるサブジェクトばかり。
(馬もいいポジションで出てくるし。)
読むほどに、ああ、この言葉、この状況、
とデジャヴのような感覚に入っていく。

たとえば、このようなくだりがある。

今まで生きてきた世界が、
まるごとひっくりかえるような出来事が起こった時、
ヒトはどのように暗闇を通過していくか。

言葉を失い、
頭の働きが異様にゆっくりになって、
ものを考えられなくなる。
ひたすら歩き続けることぐらいしかできなくなる。
息をすること、ただその一日を生き延びることが、
やっとという状態に入る。

その具体的な記述を読んでいると、
私の中に眠っていた記憶が、
「確認」されたような感覚を覚える。
そして魂が静まっていく。

こういうところが、
物語の力だなあ、と本当に思う。


あの地震と津波が起こって以来、
カオスのように言葉が世界にあふれた。
私の内側にも複雑な感情が渦巻いた。

哀しみと痛みについて、
この危機的な状況を生き延びる方法について、
社会の構造やヒトの心理について、
いろいろと感じることはあるものの、
簡単に言葉にしてはいけない、
という抑制が働いた。

なぜかというと、
それぞれの要素は別の要素につながっていて、
これはこう、
と言い切ることの危うさを強く感じていたからだ。

ひとつひっぱれば、あとからぞろぞろ、
いろいろなものがひきずられて出てくる。
だから簡単には口にできない。

そういうものを著者は、
物語の力で表してくれた。

このシリーズには様々な奴隷が出てくる。
様々な形の「囚われ」から、
ヒトが解き放たれていく物語だ。

天から与えられた力をどう使うか。
伝わっていく声とはどういうものか。
力とはなにか。

自由とはなにか。

読んだおかげで、
なにかがすっと落ち着いた。

私も「うん」とうなずいて歩いていこうと思う。
西のはてに住む者として。

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河田桟

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